宝石の中にはブラックライトを当てると輝く宝石があります。
その美しさは、見るものを魅了し、自然のものとは思えない色を見せてくれます。
今回は、ブラックライトを当てると輝く宝石のお話をしたいと思います。
ブラックライトを当てると、どうして光るの?
ブラックライトとは
「わずかに眼で見える長波長の紫外線(波長 315-400 nm、UVA、Ultraviolet A)を放射する電灯」
のことです。
要は紫外線を当てると光るということなのですが、ブラックライトは普段の光の下では肉眼で見えなくても、蛍光物質が含まれているものであれば光って見えます。
ということは「ブラックライトを当てると輝く宝石」は「蛍光物質が含まれている宝石」ということになりますね!
このように、宝石に紫外線を当てると輝くことを蛍光性と言います。
身近な宝石では、天然のダイヤモンドに蛍光性がみられるものがあります。
蛍光性がみられるダイヤモンドにブラックライトを当てると、青や黄色、グリーンやオレンジなどの蛍光を発します。
普段の光の下では透明なダイヤモンドなのに不思議ですよね。
他にはルビーやサファイアなどのコランダム系の宝石にも蛍光性がみられるものがあります。
※ダイヤモンドについての蛍光性を詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ!
ブラックライトで輝く宝石
それでは、ブラックライトを当てると美しく輝く宝石をご紹介します!
ハイアライト
ハイアライトは玉滴石(ぎょくてきせき、たまだれいし)とも呼ばれる、オパールの一種です。
ハイアライトの名前は、ギリシャ語で、ガラスを意味するhualosから由来しています。
名前の通りガラスのような見た目から「ミュラーズ・オパール」や「グラスオパール」とも呼ばれます。
非晶質なので結晶形にはならず、色は透明から半透明、またはホワイトですが、まれに淡いブルーや淡いグリーン、淡いイエローを帯びた色合いもあります。
ハイアライトの中でもブラックライトを当てるとネオンカラーに蛍光するものは、自然界のウランを取り込んでいるといわれています。
明るいグリーンのネオンカラーはまるで電飾のようです。
スキャポライト
スキャポライトの名前は、ギリシア語で柱を意味するScaposと石を意味するLithosから由来しています。
日本語の発音の違いから、スカポライトとも呼ばれることがある希少石です。
スキャポライトの中でも、ナトリウム成分の含有率の高いものは「マリアライト」。
カルシウム成分の含有率の高いものは「マイオナイト」や「メイオナイト」と呼ばれることもあります。
見た目では判断がつかず、成分分析等で鑑別を行わないと「スキャポライト」か「マイオナイト」か「メイオナイト」のどの宝石名となるのかはわかりません。
カラーレス、イエローにピンク、パープル、ブルー、褐色にグレーやグレーブラックなど、さまざまなカラーが存在します。
宝石質の多くはパープルカラーやピンクカラーの個体とされ、蛍光性だけでなく、多色性の中でも2色間のみの色変化がみられる二色性も持っています。
固体によって強弱はありますが、スキャポライトにブラックライトを当てると、オレンジ色のネオンカラーを放ちます。
柔らかいオレンジの光はまるでろうそくのよう。暖かみのあるネオンカラーが特徴的です。
フローライト
和名で蛍石(ほたるいし)と呼ばれるフローライト。その名前は流れると言う意味のラテン語「fluere」から由来しています。
フローライトのかけらを暗い場所で火にくべると、パチパチと音を立てながら弾け飛ぶといわれ、これを「蛍光フルオレッセンス」と呼ぶそうです。
クリアカラーや、淡いグリーン、パープルにブルー、イエロー、グレー、褐色などの色が存在します。
グリーンやパープルを中心にカラーグラデーションがみられることが美しいとされ、鉱物標本としても人気があります。
色合いも豊かで、良質な物はとても美しい宝石なのですが、硬度が4でちょっとした衝撃に弱く欠けやすいことからジュエリーに加工されることは少ないとされる宝石です。
紫外線を当てると発光する蛍光現象は、実はフローライトで初めて発見されたといわれています。
その為、蛍光現象のことを「フローレッセンス」と呼ぶこともあります。
フローライトはブラックライトを当てると、ブルーやグリーン、紫などのネオンカラーを発光します。
最後に
今回は、ブラックライトを当てることで、夜空に輝くネオン街のような蛍光色を発光する宝石をご紹介しました。
写真を見ただけでも強く明るい光が確認できますが、この電飾のような明るい光が自然で作られたものとは思えないほどに、肉眼で見てみるとその美しさは歴然です。
「蛍石が発光する姿を見たい」と以前馴染みの鉱物店で伝えたところ「ロジャリー産フローライト」の発光するところを見せていただけたこともありますので、もし機会があれば、是非とも直接見てみてください。
宝石の奥深さを感じていただける筈です・・・!
カラッツ編集部 監修






