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かなり大げさなのは分かっていますが、スファレライトを見ると、ついこう言いたくなってしまうのです。
ダイヤモンドの4倍近い分散率を持ち、華やかなファイアを見せるスファレライト。流通量が少なめで市場にそれほど多く出回っていないといわれるレアストーンの一つです。
今回は、強いファイアに目が眩む、希少なスファレライトについてのお話をお伝えしていきます。
スファレライトはどんな鉱物?
スファレライトの結晶は、高度の対称性を持たない偽八面体をしています。結晶は熱水鉱床中に生成し、主にカルサイト、パイライト、クオーツ、方鉛鉱を伴っています。
結晶は塊状で採られることが多く、鉛の硫化物である方鉛鉱と共に産出されます。スファレライトと方鉛鉱は見た目が似ていることから、かつては間違えられることが多かったようです。
等軸晶系で完璧なへき開を持つスファレライトの結晶は、強いファイアのみではなく、結晶構造もダイヤモンドに似ています。
スファレライトの性質
| 結晶系 | 等軸晶系 |
| 化学組成 | 硫化亜鉛 |
| 硬度 | 3.5 – 4 |
| 比重 | 4.09 |
| 屈折率 | 2.36-2.37 |
| 複屈折量 | – |
| 光沢 | 金属状~ガラス状、金剛光沢 |
スファレライトの特徴

スファレライトはモース硬度が3.5から4と柔らかく、6つの方向に割れるという完璧なへき開という性質をもっています。
もろいことからカットが困難だといわれています。
スファレライトの色
スファレライトは、普通は濃い茶色から黒色をしているのが一般的です。透明で黄色味を帯びた褐色や緑色の結晶が見つかることもあるようですが、多くはないそうです。
宝石品質と呼ばれるような高品質のものは、黄色からハニーブラウン、オレンジ、赤、緑といった発色をするものです。
結晶は透明から半透明ですが、鉄分が多いほど不透明に近くなります。
ダイヤモンドよりも高い分散率
スファレライトは屈折率が高いうえに、ダイヤモンドの4倍もある分散率をもっています。
そのため、ブリリアントカットを施したスファレライトは、光を反射すると大きなファイアを放ち、キラキラと虹色に光る眩しい光沢を放ちます。
スファレライトの名前の意味
スファレライトは英語でSphaleriteと綴りますが、この名前はギリシャ語で『騙す、裏切る』という意味を持つ『Sphaleros』を語源とします。
ほかの鉱物と混同しやすいルックスをもつことから、このような名前で呼ばれるようになったといわれます。
その昔、海外の鉱夫たちには『ジンク(亜鉛)ブレンド』『ブラックジャック』『スティール(鋼)ジャック』『ロジン(樹脂)ジャック』などと呼ばれていたといわれており、現在でも『ブレンド』という名で呼ばれることが多いようです。
和名では『閃亜鉛鉱(せんあえんこう)』という名前が付けられています。
キラリと輝くという意味をもつ『閃(せん)』。地球上でも重要な存在といわれる亜鉛の鉱石だから『亜鉛鉱』。見た目の美しい姿をそのまま表現した素敵なネーミングではないでしょうか。
スファレライトの産地

スファレライトは、世界各地の広い範囲で産出されており、日本でも産出されるといわれています。
日本
尾太鉱山(青森県)、佐山鉱山(秋田県)、神岡鉱山(岐阜県)ほか
スペイン
ピコス・デ・エウロパのアリヴァ鉱山(カンタブリア地方)
アメリカ合衆国
トライステート地域(オクラホマ州オタワ郡)
エルムウッド鉱山(テネシー州スミス郡)
イーグル鉱山(コロラド州イーグル郡)
カナダ
ワトソン湖(ユーコン準州)
フリン・フロン(マニトバ州にある鉱山街)
他の産地
メキシコ、ペルー、ロシア、スウェーデン、ドイツ、スイス、チェコ、ルーマニア、ブルガリア、イギリスなどで産出されるといわれています。
スフェーンとは違うの?
上の写真を見てください。こちらはスフェーンですが、スファレライトにそっくりですよね。同じような発色と強いファイアを持つふたつの石は、パッと見た目がとても似ています。それに、名前の響きもなんだか同じような感じです。しかし、この二つは全く異なる鉱物なのです。
化学組成から結晶構造なども全く違う宝石なので、間違えないように注意しましょう。
※スファレライトとスフェーンを比較した下記記事も参考に☆
▶似てる?似てない?スファレライトとスフェーン、共通点と違いとは
スファレライトの価格
スファレライトは宝石品質と呼ばれるような高品質のものが採れることが非常に稀。さらにもろいことから、カットが施されたルースやジュエリーが流通することは多くないといわれている宝石です。
そんな中で内包物が少なく透明感の高いもので、美しくカットされたルースとなるとさらに流通量は限られてきます。
宝石品質のものであれば、1カラットの大きさで5,000円~25,000円位が相場となります。ただし、流通量が少ないため、販売価格にばらつきが出ているのが現状のようです。
まとめ
強いファイアを見せる、美しい宝石スファレライト。
産出量が少なく、もろいことからカットするのは難しいといわれていますが、最近ルースやジュエリーに仕立てられたものを目にする機会が増えているような気がします。
もし出会う機会があればぜひ手に取って、その美しいファイアを直接見ていただければと思います。
きっと虜になる方は少なくないのではないでしょうか。
カラッツ編集部 監修






