突然ですが、ペツォッタイトという宝石をご存知ですか?
宝石に精通している方でないと、もしかしたらあまりご存知ないかもしれませんね。
それもそのはず、比較的近年に発見された新しい鉱物なのです。
硬そうな名前のイメージとは違った、甘いドロップのような愛らしさのあるペツォッタイト。
原石はどんな形?名前の意味や特徴は?など、どんな石なのか、早速お話してまいりましょう♪
鉱物としての基本情報と特徴
鉱物としての分類はケイ酸塩鉱物です。
硬度は8と、硬い部類に入ります。
ガラス光沢があり、特定方向への割れやすさがある劈開(へきかい)はありません。
硬度が高くて劈開もないということは、靭性に富み、ジュエリー向きの宝石といえますね。
そして硬さを感じさせる質感がありながら、とろんとした印象も併せもっているところが、個人的にはペツォッタイトの魅力の一つではないかと思います。
色
ペツォッタイトの色は、ラズベリーレッド、ピンク、オレンジレッドなど。
マンガンを含むため、赤く輝きます。
色が鮮やかで透明度が高い石が価値があるとされていますが、比較的インクルージョン(内包物)が多く、濁りのない石は極めて少ないです。
産地

マダガスカル、アフガニスタン、ミャンマーで産出されます。
産出量はわずかで、その中でも品質の高い、価値のあるペツォッタイトは極めて珍しい、希少性の高い石といわれています。
最初に発見されたマダガスカルのサカバラン鉱山では、すでに掘り尽くされたという噂もあるくらいです。
ペツォッタイトの原石の形
ペツォッタイトの結晶は三方晶系で、原石の形は六角柱状です。
先端は平面にならず、少し先がつぶれた水晶のような形状をしています。
あまり大きな石は産出せず、ほとんどのペツォッタイトの宝石は、1カラットから2カラットと小さなものだといわれています。
ペツォッタイトの歴史
前述したとおりペツォッタイトは、最近になって多く見つかった鉱物です。
2002年にマダガスカルのサカバラン鉱山で発見され、2003年に新しい鉱物として認められました。
しかし、新しい鉱物と認められるまでに、類似する石と同類だと考えられていた時期があったといわれています。
その石とはいったい・・・?
トルマリン?ベリル?それとも・・・
マダガスカルで最初に発見された時は、「マダガスカル産トルマリン」として流通していたそうです。
しかしすぐにトルマリンではないことが判明。
次にベリルの一種だと考えられ「マダガスカル・レッドベリル」と呼ばれていたそうです。
ところがそれも間もなくしてベリルとは別の構造を持つ新鉱物だということが判ります。
ベリルの主成分がベリリウムであるのに対し、ペツォッタイトは分析の結果、高濃度のセシウムが含まれていることが判明し、別の新しい鉱物だということが判明したのです。
「名前のない新種の宝石」で人気を集める
2003年2月にアメリカで開催された世界最大規模のミネラルショー「ツーソン・ミネラルショー」で、まだ名前のない「新種の宝石」として話題を集めました。
正式に「ペツォッタイト」という名前が付けられたのはその約半年後の2003年9月のことだといわれています。
名前の意味
ペツォッタイトという名前の由来は、イタリアの鉱物学者、フェデリコ・ペツォッタ博士からとったものだといわれています。
2003年、「新鉱物」として発見された石の分析を担当していたのがこのペツォッタ博士で、その貢献を認め、ペツォッタイト(Pezzottaite)が正式名称となったそうです。
和名は、ペツォッタ石といいます。
別名ラズベリル、ラズベリーベリル
ペツォッタイトは別名として「ラズベリル」や「ラズベリーベリル」という名前ももっています。
これはいわゆるコマーシャルネームなのですが、ラズベリーのように美しいピンク色をしていることや鉱物としてベリルとよく似ているということから名付けられたといわれています。
ペツォッタイトという名前になる前のお話です。
しかしその時の名残で、現在でもラズベリル、ラズベリーベリルと呼ばれることがあります。
ペツォタイトキャッツアイ
ペツォッタイトはインクルージョン(内包物)も魅力のひとつかと思います。
宝石の中には「チューブインクルージョン」と呼ばれる棒状の内包物が入ることで「キャッツアイ効果」という光の筋を示す光学効果をもつものがあります。
ペツォッタイトは、宝石品質と呼べるものの約10%にこのキャッツアイ効果が見られるといわれています。
最後に
見れば見るほどに愛らしい、ペツォッタイトをご紹介しました。
初めて見た印象は「なんておいしそうな石♪」でした。
でもきっとストロベリーやラズベリーのドロップに見えて仕方ないのは、筆者だけではないはず(笑)。
産出量が少ないため、原石、ルースともにあまり多くは市場に出回っていないとも聞きます。
ピン!ときた、おいしそうな(?)ペツォッタイトに出会うことができたら、それは運命かもしれませんね☆
カラッツ編集部 監修






