レッドベリルは、その名の通り赤色のベリルです。
7.5~8という硬度を持ち、種類の多いベリル族の中で価値も希少性も高い、謂わば女王のようなイメージのある宝石です。
以前鑑別機関の方がその色を「スカッとした赤」と表現していましたが、確かに他の赤系の宝石と比べても、キリッとした印象が強いかもしれません。
今回はそんなレッドベリルについてご紹介いたします。
赤いエメラルド=レッドベリル?!

最初に私がレッドベリルを見かけたのは、ある宝石店のファミリーセールでした。
当時は今ほどは宝石の知識がなく、小さなレッドベリルを使ったペンダントトップを見せられながら、「赤いエメラルド」という説明を不思議な気持ちで聞いていました。
後できちんと調べてみて分かったのですが、実際レッドベリルはただの「エメラルドの色違い」と片付けてしまうのは勿体無いくらい、エメラルドと比較しても遥かに希少な石だったんです。
過去に「レッドエメラルド」という名前で売り出されたこともあるようですが、知名度はそこまで高いとはいえません。
しかし高級なジュエリーになっているものも時々見かけるので、宝飾店などでも取り扱われることがあるのでしょう。
つまりレッドベリルは宝石としての資質を十分以上に兼ね備えたレアストーンなのです。
レッドベリルの仲間
ベリルには、グリーンやレッド以外にもいろいろな色が存在しており、色の違いで名前が付けられています。
- 無色透明・・・ゴーシェナイト
- 水色・・・アクアマリン
- ピンク・・・モルガナイト
- レッド・・・レッドベリル
- 黄色・・・イエローベリル
- 濃いグリーン・・・エメラルド
- 薄いグリーン・・・グリーンベリル
このほか、緑がかった黄色のものをヘリオドール、黃褐色のものをゴールデンベリルと呼びます。
また、紫がかったピンク色のペツォッタイト(ラズベリル)も発掘当時、ベリルの仲間とされていましたが、後にベリルの変種と分かりました。ベリルの親戚といった感じでしょうか。
レッドベリルの産地

産地が限定されていることもレッドベリルがレアストーンと呼ばれる要因のひとつかもしれません。
「アメリカのユタ州とその周辺」でしか採掘されていないといわれています。
しかも、既に掘りつくされたという話もあり、ほしいと思っても現在流通しているものから探すしかないというわけですね。
そのため物によってはダイヤモンドよりも高価なものもあるといわれています。
ちなみにレッドベリルは最初、ビクスバイト(Bixbite)という名前を付けられていました。
ただ、ほぼ同名の別の鉱物(Bixbyite)が既に存在していて紛らわしいということで、後にレッドベリルと呼ばれるようになります。
しかしながら現在でも、鑑別機関によっては「別名「ビクスバイト」と呼ばれています」という形で鑑別書に記載されることもあります。
レッドベリルの特徴

ベリルの美しい赤の発色には、マンガンが起因しているといわれています。モルガナイトも同じマンガンを含むベリルですが、色の濃さで区別されるようですね。
また、レッドベリルはエメラルドと同じでインクルージョンを多く含む宝石です。そのため、通常は透明材の含浸処理が行われています。
大きな結晶が極めて少なく、ほとんどが0.1~0.3ctほどの小さなルースとなり、0.5ctを超えたものはごくわずか。かなり小さな原石でも高値で売られているのをよく見かけます。
レッドベリルの価値

先ほどもお話したように物によってはダイヤモンドよりも価値が高いとされるレッドベリル。
小さなルースでも高額で流通していることもあります。大きくなるほど希少価値も上がるものの、どちらかというと、大きさよりは美しさの方が評価されます。
購入するときにはインクルージョンが少なく、明るい赤色のものを選ぶといいでしょう。なかには、ピンク寄りのレッドベリルもありますが、やはりレッドの濃い物の方が価値も高いです。
ただ、色がよくても宿命ともいえるインクルージョンによって、どんよりと濁った印象のレッドベリルも多く存在します。「とにかくレッドベリルを手に入れたい!」という場合でない限りは、小さくても明るい石を選んだ方が後悔しないと思います。
いずれにせよ、レッドベリルほどの高額な宝石の場合は、入手する際には必ず鑑別を取ることを強くオススメします。
カラッツ編集部 監修






