エメラルドが緑色の宝石だということをご存知の方は多いかと思いますが、産地やその硬度など詳細については知らないという方もいらっしゃるかと思います。
ここではエメラルドという宝石についての基本から詳しくご紹介していきます。
エメラルドとは

エメラルドとはダイヤモンド、ルビー、サファイアと並んだ世界4大宝石のうちのひとつです。
宝石の中でも知名度と市場価値の高い宝石かと思います。
緑色が濃く、澄んだ透明感のあるエメラルドはたいへん価値がありますが、天然のエメラルドは傷のあるものが極めて多いという特徴があります。
西洋では「傷のないエメラルドを探すのは欠点のない人間を探すよりも難しい」ということわざがあるくらいです。
エメラルドは鉱物の種類としてはベリルという名前の石で、そのベリルの中には3月の誕生石であるアクアマリンもあります。
エメラルドとアクアマリンは鉱物学上では親戚のような関係になるんですね。
またエメラルドにまつわる有名なエピソードとして、古代3大美女と名高いエジプトの女王、クレオパトラ7世のお気に入りの宝石であったことが挙げられます。
エメラルドはその深く鮮やかな緑色が人々を癒す神聖な石だとされ、古代から多くの人々に愛されてきました。
中でもクレオパトラのエメラルド愛は有名で、自らのエメラルド鉱山を持っていたほどだといわれています。
エメラルドの産地

エメラルドの主な産地としては、コロンビア、ブラジル、ザンビアなどがあります。
同じエメラルドでも産地が異なるとそれぞれ特性の違うものが産出されます。
例えば、ブラジル産は比較的含有物(石に含まれる傷や内包物)の多いものが採れることで有名です。
またジンバブエ産のエメラルドは黄味がかった色が強く、小さめでも輝きの強いエメラルドが多いといわれています。
そして、さまざまな産地の中でコロンビア産のエメラルドは青みがかった透明度の濃い良質なものが採れることから、もっとも市場価値が高いとされています。
エメラルドの硬度

宝石は「モース硬度」と呼ばれる尺度(数値)で表現されます。
モース硬度とは「あるものをひっかいた時にできる傷のつきにくさ」を表す数値です。
もっとも硬いものを10、もっとも軟らかいものを1として1~10で表します。
例えば今現在、地球上でもっとも硬い鉱物だといわれるダイヤモンドはモース硬度10、傷のつきやすいサンゴは3.5で、エメラルドは8.5です。
モース硬度上はエメラルドは8.5と比較的高い数値がついていますが、『モース硬度=割れにくい』というわけではありません。
ひっかき傷はつきにくくても、衝撃に弱いという特性がエメラルドにはあり、実は比較的割れやすい宝石なのです。
なぜこのような特性があるかというと、それはエメラルドが生成される過程に要因があります。
エメラルドはクロムイオンという物質が中に不純物として入ることで、あの美しい緑色が生成されていきます。
また他にも、内部に水分や油分を取り込むという性質があります。
そのため表面上の傷がつきにくくてもこういった内包物の多さから強度としては弱いという特性を持っているのです。
ですので、美しい深い緑色をしたエメラルドで内包物の少ないものは、ほとんど奇跡に近い存在なのです。
エメラルドの美しさを生かしたカットとは?

エメラルドの美しさを生かす代表的なカットは画像のような「エメラルドカット」と呼ばれる角を落とした長方形や正方形のカットのことです。
これは宝石の表面(テーブル面)が広いため石の透明度を美しく見せることができます。
また割れやすいエメラルドの特性を考慮して角を落としてあるという実用性も兼ね備えています。
他にエメラルドの特性を生かせるカットとして「カボションカット」が挙げられます。カボションとはフランス語で「頭」の意で、エメラルドの断面を丸くカットする方法です。
ビー玉のようなつるんとした丸みを帯びた表面になり、角がないため割れにくいという利点があります。
エメラルドの魅力

石言葉が「幸福」の意味をもつエメラルドは、はるか昔から多くの人々をその神秘的なグリーンで魅せてきました。
ある時は心を癒すための治療薬として、ある時は自身の美しさを際立たせる手段として、いつの時代もエメラルドは人間にとって憧憬の対象だったのです。
皆さまにとってのとっておきのエメラルドを選ぶ参考にしていただければ嬉しいです。
カラッツ編集部 監修






